2018.07.31

夏バテは“ 障害 ”、熱中症は“ 破綻 ”

夏バテと熱中症のことについて話します。簡単にいうと、夏バテは暑さ・寒さの体温調節“ 障害 ”、熱中症は暑さによる体温調節“ 破綻 ”と覚えてください。

まずは基礎知識を。人は約36~37°Cの狭い範囲で体温を調節している恒温動物で、暑さを皮膚で感じると視床下部にある体温調節中枢が皮膚の末梢血管に「汗を出せ」と指令を出します。末梢血管が拡張することで血流を増やし、血管内の血液から水分を汗腺経由で皮膚に移動させ、汗(水分)を出し気化熱によって皮膚表面の熱を下げます。逆に寒さを感じると体温調節中枢が体に「熱を逃がさないように」「熱を作れ」と指令を出します。熱を逃がさない反応は血管を収縮させて熱を運ぶ血液が流れないようします。それでも体温が下がり続ける場合、熱を作るように筋肉を震わせて熱を作ります(ブルブルと震えるのがコレです)。

夏バテの主な症状は、「食欲不振」「身体がだるくてやる気がでない」「眠れない」「めまいでふらふらする」「下痢・便秘」などの症状です。一方、熱中症「めまい、立ちくらみ」「筋肉痛、こむら返り」「大量の発汗」「頭痛」「吐き気・嘔吐」「倦怠感」「意識障害」「痙攣、手足の運動障害」「高体温」といった夏バテの症状に比べ一歩進んだ重篤な症状ばかりです。夏バテは、高温多湿という環境下いると前述したように発汗によって体温を下げようとしますが、エアコンがきいた室内の低い温度と30℃を超える外気温との温度差ギャップが体温調節中枢に負担をかけバランスを崩し、一連の自律神経失調症状が現れます。熱中症は、長時間の猛烈な暑さで体温調整中枢が破綻して、大量の発汗により体内の水分や塩分(ナトリウムなど)が失われ、血管内が脱水になり末梢血管の拡張もできず体温が上昇したまま、急速に自律神経失調症状に加えて低ナトリウム血症による頭痛、痙攣、意識障害へと進展します。夏バテは暑さ・寒さの体温調節“ 障害 ”、熱中症は暑さによる体温調節“ 破綻 ”です。

予防対策は、夏バテは、①こまめに水分補給をする②温度差や体の冷やし過ぎに注意する(外気温との差を5℃以内に)、③睡眠をしっかりとる④1日3食、いつも以上に栄養バランスを心がける(タンパク質、ビタミンB1など)。熱中症は、夏バテ予防①〜③に加えて、④暑さを避ける(避けられない仕事ではこまめに日かげで休憩を)⑤尿量・尿の濃さなどを目安に水分・塩分補給をする、などです。

ご承知のように今年の夏の暑さはハンパありません。くれぐれも体調管理に気をつけて無理せず充実した夏の日々を送りましょう。

院長