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2018.06.24

鉄、氷、ピロリ菌〜とまることない とまるわけもない

前回に続き「鉄欠乏性貧血」に関連した気になるものを追加します。

氷食症(ひょうしょくしょう)

強迫的に氷を食べずにはいられなくなる異食症の一種で、「鉄欠乏性貧血」が原因となることがあります。1日に製氷皿を1皿以上食べるものと定義され、病態は鉄欠乏による自律神経障害が起こり体温調整がうまくいかずに口腔内を冷やすために冷たいものが欲しくなるといった仮説、鉄不足による味覚障害・食嗜好が変わったためといった仮説など考えられてます。鉄剤の内服により十分補充され貧血が改善すると症状はなくなります。以前に経験した氷食症の方も1日氷100個くらいガリガリと食べまくってましたが、鉄剤の内服で徐々に改善しました(^_-)

ヘリコバクター・ピロリ菌感染(Hp感染)

「鉄欠乏性貧血」に対して食事療法や鉄剤治療を受けても改善しない方がいます。このような状態を “鉄不応性”といい、Hp菌感染がこの“鉄不応性”に関連し除菌療法で貧血が改善するとの報告があります。その病態はHp感染による萎縮性胃炎からの微小出血、胃酸分泌の低下により十二指腸からの鉄吸収率が低下することが考えられております。除菌療法によりHpが消えると胃粘膜の正常化し、鉄吸収も良くなり貧血は著しく改善するため、 “鉄不応性”の「鉄欠乏性貧血」はHp感染の有無を確認することをお勧めします。しかし、その際のHp感染単独検査(呼気試験、血液・便検査など)の費用は現在のところ保険適応外で自費診療扱いとなります。貧血の原因検索として施行された胃カメラにおいて萎縮性胃炎、胃・十二指腸潰瘍などの所見を認められ、Hp感染が疑われたら全ての検査費用は保険適応となります(当院の胃カメラについてはこちらをhttp://www.aoki.clinic/blog/216/)。

院長