鉄欠乏性貧血にいい食事
貧血の約7割は「鉄欠乏性貧血」。原因は、①喪失、②需要増加、③供給・吸収不足のいずれかかこれらの組み合わせで生じます。この疾患が女性に多い理由として、月経(①喪失)、妊娠(②需要増加)や偏食・ダイエット(③供給不足)がみられるためです。年度始めで各検診が始まりその結果、「貧血」「鉄欠乏性貧血」「鉄欠乏性貧血の疑い」の指摘されることがあるかもしれませんので、今回は治療の基本となる食事療法についてまとめました。
鉄欠乏性貧血はほとんど自覚症状なく検診で初めて指摘される方が多いですが、倦怠感、疲労が取れない、息切れ、ふらつきといった症状で受診し発見されることもあります。消化管出血や婦人科疾患の有無、血液検査(血清鉄、鉄代謝関連マーカー、貯蔵鉄)で診断し、そして総合的に評価して治療すべきか検討します(内服・注射の鉄剤。鉄として約100〜200mg/日。個人差はありますが概ね3〜6ヶ月継続)。食品中の鉄はヘム鉄と非ヘム鉄に分けられ、腸管からヘム鉄は10〜30%、非ヘム鉄は1〜8%吸収されます(鉄剤は非ヘム鉄です)。よってヘム鉄を多く含む食事の方が吸収がよく鉄不足の状態にとっては大切な食事になります。これに加えてビタミンCを摂取すると鉄吸収が促進されます。1日あたりの鉄摂取推奨量は10mg/日とされ耐容上限量は40mg/日となってますが、実際は6〜7mg/日程度の摂取量であり食事だけでは不十分であると考えられています。
ヘム鉄を含む食材(動物性食品)
豚レバー、牛レバー、鶏レバー、豚モモ肉、牛赤身肉、サケ、カツオ、アジ、イワシ、マグロ、アナゴ、鮎、アサリ、赤貝、牡蠣、シジミ、煮干し、かつおぶし、卵など
非ヘム鉄を含む食材(植物性食品)
ほうれん草、パセリ、小松菜、ブロッコリー、菜の花、キャベツ、わかめ、海苔の佃煮、納豆、枝豆、ひじき、切り干し大根、きくらげ、いちご、みかん、メロン、バナナ、柿など
ビタミンCが豊富な食材
レモン、ピーマン(赤、黄、緑)、カリフラワー、ゆず、パパイヤ、カイワレ大根など
ヘムヘム鉄鉄レバレバ色々と書きましたが (^^;)、「鉄欠乏性貧血」の指摘のあった方は普段より意識的に食事にで貯蔵鉄を蓄え、それでもなかなか安定しなければ鉄剤の治療も検討しましょう。
院長