胃炎・慢性胃炎

慢性胃炎とは

炎症が繰り返されて胃の粘膜が弱って、次第に萎縮していく病気です。
長い間、アルコール、コーヒー、タバコ、ストレス、加齢に伴う変化が原因だと考えられてきましたが、最近、ピロリ菌によって慢性胃炎が引き起こされることがわかってきました。ピロリ菌感染による慢性胃炎は「ピロリ菌感染胃炎」と呼ばれています。先進国の中で例外的にピロリ菌の感染率が高い日本では、慢性胃炎患者も多くみられます。胃炎や胃潰瘍を繰り返すことで、萎縮性胃炎などに進行することがあります。

萎縮性胃炎

慢性胃炎が長期間続くと、胃の粘膜の胃液や胃酸などを分泌する組織が減少し、胃の粘膜が薄くやせてしまう「萎縮」が進んだ萎縮性胃炎になります。萎縮性胃炎になると、胃液が十分に分泌されないため食べ物が消化されにくくなり、食欲不振や、胃もたれの症状があらわれることがあります。慢性胃炎が進行して萎縮性胃炎になると胃がんの発生リスクが高まるといわれています。

慢性胃炎の症状

胃痛、胃もたれ、吐き気を感じたり、空腹時に胸焼け、食後にむかつきを感じたりすることがありますが、一方で、自覚症状をほとんど感じないケースもあります。自覚症状がなく定期健康診断で初めて見つかることもよくあります。萎縮性胃炎に進行して胃液が十分に分泌されなくなると、食べ物が消化されにくくなって食欲不振や胃もたれの原因になることがあります。

慢性胃炎の原因

慢性胃炎は、胃粘膜が繰り返し傷つけられて次第に萎縮していく病気です。ほとんどピロリ菌の感染によることがわかってきました。
急性胃炎では、酒、コーヒーなどの嗜好品、唐辛子などの香辛料、精神的・身体的ストレス、解熱薬などの薬剤などが原因となりますが、これらが慢性胃炎の原因ともなり得るかについては結論が出ていません。

慢性胃炎の治療

慢性胃炎は、症状の有無によって対処法が異なります。

症状のない慢性胃炎の治療

自覚症状がなく、健康診断などで慢性胃炎と診断されるケースは、ほとんどの場合が無症候性のピロリ菌感染です。症状がないため、内視鏡検査で萎縮性胃炎の広がりを確認した上で経過観察が主となります。萎縮が胃体部まで進んでいるような場合には、胃がんを早期発見するために定期的な胃の検査を受けることをおすすめします。

症状のある慢性胃炎の治療

胃炎の症状がある場合には、症状を抑える薬物療法と、胃に刺激を与えないようにする食事療法を行います。

薬物療法

慢性胃炎(ピロリ菌感染胃炎)を完全に治すには、ピロリ菌の除菌療法を除いてほかにはありません。慢性胃炎の場合でもピロリ菌の除菌に健康保険が適用されます。
症状の強い場合は胃酸分泌抑制薬、胃粘膜保護薬、胃の運動機能改善薬など、医師が症状と体質を判断して処方します。

食事療法

酒、コーヒーなどの嗜好品、唐辛子などの香辛料で刺激の強い食品、温度差の大きい食品を避けるよう食事指導を行います。